リーダー育成や職員育成に課題を感じる法人が集まり、「法人の垣根を超えて、次世代を担う新たなリーダーを育成したい」という思いから始まった「Draw Up!研修」。現在6法人で運営を行い、リーダーになれるような人材育成や職員のモチベーション向上に向けた研修を行っています。実際の取り組み内容について、6法人を代表して社会福祉法人小田原福祉会の安倍様にお話をお聞きしました。

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プロフィール

法人の垣根を超えた新たなリーダーを育成する「Draw Up!研修」とは-社会福祉法人小田原福祉会 他-
安倍 有輝 様

社会福祉法人小田原福祉会 (人事部)

介護職経験を積み、2017年に社会福祉法人小田原福祉会へ入職。入職後から「Draw Up!研修」の事務局運営に携わっている。

新たなリーダー育成のために必要なのは、法人の垣根を超えた連携 

――「Draw Up!研修」を始めたきっかけは何でしょうか?

「法人間で次世代のリーダーを育成する研修はできないか」と、当法人の理事長と社会福祉法人福祉楽団の理事長とが声をかけあったのがきっかけです。当時、各法人でリーダー向けの研修はありましたが、リーダーを目指す職員に向けた研修はほとんどありませんでした。介護業界では人材育成が課題に挙がることも多く、土台の整った新たなシステムづくりが必要だと考え動き出しました。その後、社会福祉法人合掌苑を迎えて3法人で研修設計を考え始め、さらに、交流があったリクルートマネジメントソリューションズにも協力していただき、連携して研修づくりに取り組みました。2017年からは、新たに社会福祉法人愛川舜寿会、社会福祉法人しんまち元気村、社会福祉法人生活クラブ風の村の3法人を加え、6法人で運営しています。

――研修開始までにどんなことに取り組みましたか?

講師を担当しているリクルートマネジメントソリューションズとの綿密な打ち合わせを行いました。研修の名前である「Draw Up!」には「引き上げる」という意味があります。各法人の受講者一人ひとりの力をより効率的に引き上げるため、性格や考え方などを考慮しグループ分けを行いました。計画的なグループ分けを行うことで、受講者間で化学反応が起き、研修の効果を引き上げています。

「Draw Up!研修」の内容とは

――実際の研修内容を教えてください。

研修は約10か月かけて3つのステップで開催されます。ステップ1とステップ2は1泊2日の合同研修です。ステップ1では「自己開示」をメインに研修を行います。現状の悩みや自身の強みと弱みを共有し、お互いに自己効力感を高めていく内容です。研修の最後には「リーダーのあるべき姿」をグループワークのなかで導きだしていきます。ステップ1とステップ2の間には研修の目玉ともいえる「相互訪問」を行っています。相互訪問の約1か月後に行うステップ2は、訪問後に得られた内容を共有し、自法人にどう活かしていくかを決めるものです。ステップ3は、取り組んできた内容を振り返り共有しあうものであり、ステップ2から約半年後に行われます。今後のリーダーとしての行動計画をたてながら実行に移す準備をするための段階です。

――「相互訪問」はどのような内容ですか?

研修で同じグループになった受講者の法人施設をお互いに訪問しています。数日間をかけてお互いの法人施設を訪問し、各法人の取り組みはもちろんのこと、1日の業務の流れや利用者様との関わり方をみていきます。お互いの良いところも悪いところも共有し、意見をもらう機会になるため、どの法人もとても協力的に参加してくれていますね。参加者はほかの施設を知ることで、自施設の良いところを再発見する機会にもなっています。

――研修後の効果はどのように現れていますか?

各法人へ実施後のアンケートを取った際には、「仕事に対するモチベ―ションが上がった」「研修での気づきが多く、主体的に業務に取り組むことができている」など前向きな回答が多く、受講者それぞれの業務に取り組む視座が上がっていると感じています。6法人が参加しているため、研修場所の確保やスケジュール調整は大変でしたが、研修の効果は実感していますね。

法人の垣根を超えた新たなリーダーを育成する「Draw Up!研修」とは-社会福祉法人小田原福祉会 他-
▲グループに分かれて意見交換を行いながら研修を進めていきます。(2019年開催時の写真です)

研修後に得られた実感の声

――研修実施後、運営局内での反応はいかがでしたか?

「それぞれの施設が取り組んでいることや考え方を知ることで、自施設の良い点や改善点を見つめ直す機会になっている」「同業種同士での一体感を感じる機会になっている」といった声がありました。6法人それぞれの取り組みやノウハウを惜しみなく提供し合える関係性構築ができ、受講者だけでなく運営側にとっても良い刺激になりましたね。——「それぞれの施設が取り組んでいることや考え方を知ることで、自施設の良い点や改善点を見つめ直す機会になっている」「同業種同士での一体感を感じる機会になっている」といった声がありました。6法人それぞれの取り組みやノウハウを惜しみなく提供し合える関係性構築ができ、受講者だけでなく運営側にとっても良い刺激になりましたね。

――小田原福祉会では研修後の効果をどのように感じていますか?

研修や相互訪問を行うことで、客観的な視点から法人の評価をもらうことは、受講者だけでなく、運営している人事担当者のモチベーションにも大きく関わっていると感じています。特に相互訪問は、「法人」を紹介する機会にもなるため、受講者は所属する事業所だけでなく改めて自法人を知る機会にもなっていますね。

それぞれ特色のある法人が集まっているので、自法人にはない良さを知ることでうらやましく思う部分もありますが、あらためて自法人の良さにも気づけるため、これからもっと良くしていこうと前向きに考える機会にもなっていますね。

今後の「Draw Up!研修」の展望とは

――今後の研修の展望を教えてください。

「Draw Up!研修」受講後のフォローアップ研修ができないかという意見も出ています。受講後のキャリアアップがどのように進んでいるかといった現状を共有する場が欲しいという意見もありますね。

また、コロナ禍での新しい研修のあり方も考えていきたいと思っています。この研修では顔を合わせて意見交換や訪問をすることで、現場の「空気感」を感じることを大切に考えていましたが、オンラインで実施することも視野に研修設計を打ち合わせていくことが今後必要だと考えています。

――研修設計を考えている事業所の方へ伝えたいメッセージはありますか?

ほかの法人と共同運営するのであれば、お互いの特徴をよく見ることが大切です。ただ集まって何となく研修するだけだと、そこから吸収できるものは何もありません。「何が目的で、何を吸収したいか」を一緒に考えて実行できる法人を見つけて、開催するのがおすすめです。当法人としても、今後は首都圏だけでなく、関西や地方都市でも「Draw Up!研修」のような取り組みが増えていけばいいなと思います。

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