高齢者とのコミュニケーション方法!相手に寄り添う上手な会話のコツとは

介護職の悩み 2023年4月4日
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女性と手を取って会話する女性スタッフ

この記事のまとめ

介護現場では、会話をはじめとした高齢者とのコミュニケーションが重要です。しかし、高齢者の中には難聴や認知症を患っている人もいるため、介護士になったばかりだとコミュニケーション方法が分からず、悩んでしまう人もいます。この記事では高齢者のことを理解し、認知症の方が相手でも円滑にコミュニケーションを取るコツをご紹介。相手に寄り添った介護が行えるように、コミュニケーション方法を工夫してみましょう。

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目次

介護現場で高齢者とのコミュニケーションが重要な理由

介護現場で高齢者とのコミュニケーションが必要なのは、本当に必要な介護サービスを提供するためです。利用者さんは高齢や病気による機能障害や言語能力の低下によって、上手く自己表現ができないことがあります。ときには言葉足らずや解釈違いによってコミュニケーションが上手くいかず、利用者さんとの関係が悪くなってしまったり、相手の気持ちを汲み取れなかったりすることも。きちんとコミュニケーションが取れれば、以下のような効果が期待できます。

高齢者との信頼関係を結ぶため

介護現場におけるコミュニケーションは、高齢者との信頼関係を結ぶために重要です。介護士の仕事は利用者さんの生活のサポートなので、信頼関係がないと相手に喜んでもらえる介護サービスの提供が難しくなります。多くの利用者さんは介護士よりも高齢なので接し方に悩む方もいますが、高齢者だからといってコミュニケーション方法が変わるわけではありません。対等な個人として扱い、積極的に声掛けを行ったり相手の話を聞いたりするうちに、利用者さんとの信頼関係を結べるようになります。

トラブル・アクシデント防止

介護現場では、どんなに気をつけていてもトラブルやアクシデントが発生してしまいがちですが、コミュニケーションを徹底していれば未然に防げるものもあります。たとえば、重度の認知症や身体麻痺を患っている高齢者は自分の意思を上手く伝えられないことが理由で、転倒をしてしまったり、褥瘡ができてしまったりすることも。介護士が高齢者とのコミュニケーションを普段から行っていれば、些細な異変や表情の変化にも気付きやすくなり、トラブルやアクシデントを減らせると考えられます。また、情報共有ができていないときもアクシデントが発生しやすいので、高齢者だけでなく職員間でのコミュニケーションも重要です。コミュニケーションを通じて利用者さんの様子をしっかり観察して、病気や怪我を防ぐことが介護職員に求められています。

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高齢者とのコミュニケーション方法

ここでは高齢者との接し方に悩んでいる介護士の方に向けて、相手に寄り添ったコミュニケーション方法をご紹介します。高齢者とのコミュニケーションにおいて重要なのは、相手に信頼してもらうために自分から心を開き、余裕を持って落ち着いた態度で接することです。また、相手に寄り添った傾聴や共感も、高齢者の気持ちを理解するために欠かせません。高齢者と信頼関係を築き、質の高い介護サービスを提供するために、状況に応じてコミュニケーション方法を使い分けてみてください。

言語的コミュニケーション

言語的コミュニケーションとは、会話や言葉遣いといった言葉を使うコミュニケーション方法です。言語的コミュニケーションで高齢者と良好な関係を築くには、いくつかポイントがあります。

たとえば、利用者さんに挨拶するときは笑顔でハキハキと話すのがポイント。明るく挨拶すれば高齢者からの印象が良くなり、心を開いてもらいやすくなります。また、会話の際は相手の目線に立ち、思いやりにあふれた言葉遣いや正しい敬語を意識して話しましょう。高齢者は身体機能の低下や病気によって悲観的になりやすいので、なるべく肯定的な言い回しを使うと相手を傷つけずに自分の意見を伝えられます。

ほかにも適度に相槌を打ったりうなづいたりして、相手の話を聞いていることをアピールするのも重要です。アクションを取り続ければ、利用者さんは「自分の話を聞いてくれる」と感じて、心を開いてくれるようになります。言葉遣いだけでなく口調や声の大きさ、話すスピードも意識できるようになると、高齢者とのコミュニケーションが円滑になるはずです。

非言語的コミュニケーション

非言語的コミュニケーションとは、表情・目線・姿勢・動きといった、言葉以外を使ったコミュニケーション方法です。非言語的コミュニケーションは、言葉による感情表現よりも気持ちが伝わりやすいとされており、介護現場で高齢者と信頼関係を築く方法として重要視されています。

たとえば、第一印象を左右する身だしなみも非言語的コミュニケーションの一つです。相手にマイナスイメージを与えないように、常に清潔に整えて髪型や服装、爪などが汚れていたり乱れていたりしないように心掛けてください。また、高齢者は他人の感情に敏感な方が多いので、表情や態度にも気を付ける必要があります。高齢者と接するときは基本的に笑顔が理想ですが、利用者さんが怒ったり泣いたりしているなら、相手の気持ちに寄り添うように表情でも共感を示しましょう。利用者さんとのアイコンタクトや傾聴時の前傾姿勢など、非言語的コミュニケーションを活用を意識できると、高齢者との信頼関係が築きやすくなります。

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認知症の高齢者とのコミュニケーション方法

認知症を患っている高齢者は、被害妄想に陥ったり認知機能が低下していたりするため、コミュニケーションがうまく取れないことが多々あります。介護士の中にも、「認知症の利用者さんにどう接したらいいか分からない…」と悩んでいる方がいるはず。ここでは、認知症の高齢者と良好な関係を築くためのコミュニケーション方法や接し方のコツをご紹介します。

認知症に対する正しい知識を持つ

認知症の高齢者と接する前に、病気に関して正しい知識を身に付けましょう。認知症にはいくつか種類があり、最も発症しやすいのが「アルツハイマー型認知症」です。老化によって脳の中でも記憶を司る海馬と側頭葉が萎縮し、人の名前が分からなくなったり、昔のことが思い出せなくなったりといった記憶障害を引き起こすといわれています。症状が進行すると家族のことを忘れる、食事したことを思い出せないというように、次第に直前に起きたことでも分からなくなってしまう病気です。しかも、認知症になると物事を忘れやすくなるため、自分の置かれている状況が理解できず、不安が爆発してパニックに陥ることも。認知症によって気持ちをコントロールしにくくなり、周りの感情に影響されやすくなるため恐怖や怒りに支配されてしまうこともあります。

認知機能が低下していく親や祖父母を見てショックを受ける家族は少なくありませんが、最も傷ついているのは認知症を患った高齢者本人です。認知症の高齢者はできないことや思い出せないことが多くなるほど、不安になって塞ぎ込んだり、攻撃的になったりするなど感情的な行動を取るようになります。認知症によって不安で傷つきやすくなっている高齢者とコミュニケーションを取るには、正しい知識を持って相手を理解することが重要です。

否定や𠮟責をせずに相手の話を受け入れる

認知症の高齢者とのコミュニケーションでは、否定的な発言や叱責をしてはいけません。認知症の高齢者は、介護士を自分の子どもと勘違いしたり、食事の後に「ご飯はまだなの?」と聞いたりすることがあります。そのような高齢者の発言に「私は息子さんじゃないですよ」「ご飯ならさっき食べましたよ」と言っても、相手は理解できずにかえって混乱してしまう可能性も。また、傷つけられたと感じた高齢者が逆上してしまうことも考えられます。

まずは高齢者の話を受け入れて、どのような感情から出た発言なのか考えられれば、コミュニケーションが円滑になるはず。認知症を患っている高齢者が「お母さん」と呼ぶのは、さみしさや甘えたい気持ちが理由かもしれません。「ここにいるよ」「どうしたの?」など、声を掛けてあげるだけで気持ちが落ち着くこともあるので、相手の話を受容したうえで適切な受け答えを行いましょう。

目線を合わせて耳元で話す

認知症を患っている高齢者と会話するときは、目線を合わせて耳元で話すことを心掛けましょう。利用者さんはベッドで寝たきりの人や車いすで生活している人が多く、介護士よりも目線が低めなので、腰や膝を曲げて話す必要があります。特に認知症を患っている高齢者は表情や態度に敏感なので、立ったまま話しかけると威圧感や不安を覚えてパニックになってしまうかもしれません。目線を合わせて良く聞こえるように耳元で話せば、相手も穏やかな気持ちで応じてくれるはずです。状況に応じてスキンシップを組み合わせながら、正しいコミュニケーション方法を身に付けましょう。

高齢者と会話するときのコツ

介護士が高齢者と会話する際いくつかのコツを押さえておくと、話が盛り上がって楽しくコミュニケーションを取れます。年の離れた高齢者とのコミュニケーション方法が分からず、会話に苦手意識を持つ介護士の方は、ここで紹介するコツを実践してみてください。

声のトーンを低くしてはっきり話す

高齢者と話すときは声のトーンを低くして、相手が理解できるようにはっきりと話すのがコツです。聞こえやすいようにと大きな声で話しかけがちですが、高齢者からすると耳元で怒鳴られていると感じてしまいます。そもそも、高齢者が聞き取りにくいのは電子音や高音といった周波数の高い音なので、大きな声で話しかけても声が高いと上手く伝わりません。高齢者と会話するときは口元が見えるように正面から話しかけ、はっきりと落ち着いたトーンで話すようにすればしっかり相手に伝わるはず。また、聞き取りやすいように言葉の区切りを意識すると、より内容を理解してもらいやすくなります。

傾聴や共感を重視して聞き手に回る

高齢者との会話では何度も同じ話をされることがありますが、「もう聞きましたよ」とストップさせずに、相槌を打ったり続きを促すような質問をしたりしましょう。人と話すのが好きな利用者さんもいるため、話を遮られたり否定的な態度を取られたりすると傷つき、塞ぎ込んでしまう可能性があります。高齢者の話を聞くときは、相手の気持ちに寄り添えるように傾聴や共感を意識して聞き手に回ってみましょう。話の内容を深掘りするような質問ができれば、相手に「熱心に話を聞いてくれる」と好印象を与えられます。

目線を合わせる

認知症の高齢者とのコミュニケーション方法として先述しましたが、会話するときに目線を合わせるのは、ほかの利用者さんとの接し方でも役立つコツです。ベッドで寝ている人や車いすで生活している高齢者に話しかけるときは、椅子に座ったりしゃがんだりして目線を合わせると、相手に表情が伝わりやすくなります。また、会話しながら適度にアイコンタクトを行うと、高齢者が「しっかり話を聞いてくれる」と感じやすいです。状況に応じて相手の手を握るというようなスキンシップを取り入れてみるのも、高齢者とのコミュニケーションを円滑にする方法といえます。

相手に寄り添った言動を心掛ける

怒りっぽく気難しい人や、ネガティブ思考な高齢者とコミュニケーションを取るには、傾聴や共感だけではなく、相手の気持ちに寄り添った言動が重要ですたとえば、利用者さんの中には介護されるのに抵抗があり苛立っている人や、自分でできることが減ってネガティブ思考に陥っている人もいます。介護士は生活の援助だけでなく、利用者さんがQOLの高い暮らしを送れるように自立支援を行うのも仕事です。「〇〇さんにお願いしたいことがあるんです」と声を掛けて、利用者さんができる範囲の用事を頼んでみましょう。植物の水やり、自分の食事の配膳などちょっとしたことができるたびに、高齢者の自尊心が取り戻されていきます。また、高齢者の得意なことについて教えてもらったり質問したりすると、「必要とされている」と感じて喜んでくれる可能性が高いのでおすすめです。

仕草や表情にも気を配る

高齢者と会話するときは、仕草や表情といった非言語コミュニケーションを活用してみましょう。言葉遣いや話し方だけでなく、表情で共感を示したり姿勢で話を熱心に聞いていることをアピールできたりするので、高齢者に好印象を与えられます。一方で、腕を組んだり無表情で高齢者と接したりしていると、威圧感や不信感を覚えられてしまうことも。話している内容に合わせて表情や仕草を変えるのが、高齢者と信頼関係を築くコミュニケーションがのコツといえます。

高齢者とのコミュニケーションが上手くいかない場合

さまざまなコミュニケーション方法や接し方のコツを試してみても、高齢者と信頼関係が築けないと感じるときは、相手の個性や特徴を理解してアプローチを変えてみましょう。

余裕を持って相手の反応を待つ

高齢者と積極的にコミュニケーションを取ろうとするあまり、相手を待つ余裕がなくなっている可能性があります。コミュニケーションとは、自分と相手のやり取りがあって初めて成立するもの。高齢者は認知機能の低下や発語のしにくさを理由に、反応するまでに時間が掛かってしまうことがあります。リアクションがなくても焦らずに、高齢者が反応を返すまでゆっくり待ってみましょう。相手のペースに合わせたコミュニケーションで、信頼関係を築けるかもしれません。

相手が好きな話題を見つける

天気や最近のニュース、食べ物の話などの軽い世間話から相手の好きなものが分かったら、その話題を振ってみるのも一つの方法です。相手の好きなことに関する話題なら、積極的に会話を行ってくれるかもしれません。また、利用者さんが働いていたころの話や子どものころの話を聞くのも、喜んでくれる可能性があります。介護士の家族の話や出掛けた話を聞くのが好きな高齢者もいるので、相手の好みに合わせて話題を変えてみましょう。

沈黙も一種のコミュニケーション

意外に思うかもしれませんが、会話がない沈黙も一種のコミュニケーション方法なので、無理に会話しなくても高齢者と信頼関係を築けることがあります。高齢者の中には会話が不得意・苦手という人もいるので、ゆっくり散歩したりお茶を飲んだりするなど同じ時間を共有してみても良いかもしれません。沈黙が続くとそわそわしてしまう人もいますが、会話だけが信頼関係を築く方法ではないので、一種の非言語的コミュニケーションだと割り切って慣れていきましょう。

高齢者の特徴に沿ったコミュニケーションを心掛ける

高齢者は性格や今まで培ってきた経験、必要な介護の度合いなど、一人ひとりまったく異なる特徴を持っているため、効果的なコミュニケーション方法も違います。高齢者のことを一人の人間として対等に扱い、相手のことを理解していけば、適切なコミュニケーション方法が見つかるはずです。そのためには傾聴や共感、思いやりのある言葉遣いなど介護におけるコミュニケーションの基本が欠かせません。高齢者と真摯に向き合い、相手と信頼関係を築きたいという気持ちがあれば、適切なコミュニケーション方法を掴めるようになる可能性があります。

まとめ

介護現場におけるコミュニケーションは、信頼関係を築いたりアクシデントを未然に防いだりするために重要です。会話だけでなく表情や仕草、スキンシップといった非言語的コミュニケーションを活用すれば、認知症を患っている高齢者とも、信頼関係を築けるかもしれません。

高齢者と信頼関係を築きたいなら、傾聴や共感を重視して相手に寄り添うコミュニケーションを実践してみましょう。高齢者の特徴に応じて、会話のコツやコミュニケーション方法を使い分けられるようになれれば、よき理解者として信頼関係を築けるはずです。

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※この記事の掲載情報は2023年4月4日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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